なるほど。
体全体を描くときは、描き始めるより前に
全体のバランスを意識すると効果的です。
そこで今回は、
・描きたい頭身を決める
・体のアタリの取り方
・体の描き方のコツ
この内容を紹介します。
まずは自分の描きたい頭身を決める
初心者のときにやってしまいがちなのが、なんとなく体全身を描いてしまうということです。
なんとなく顔を描いて、なんとなく上半身を描いて、なんとなく下半身を描いて。全てなんとなくバランスを考えて描いてしまうパターンです。
描き慣れた上手い人なら問題はないのですが、慣れていない人がやってしまうとバランスが崩れ失敗しがちに。
じゃあどうすれば良いのか?この場合も、顔の描き方のときにもお伝えした「アタリをしっかり取る」方法が効果的です。
ただ、体全身を描く場合はアタリよりも先に、自分の描きたい頭身を決めることが重要になります。
人それぞれ自分の絵柄があり、また自分の描きやすい頭身があるはずです。
特に頭身を意識しなくとも、作品を見直してみると「いつも描くイラストって〇頭身が多いなぁ」と気付くことはありませんか?(ちなみに僕は5~6頭身が多いです)
まずは自分の描きやすい頭身で練習するのがオススメです。
もちろん色々な頭身が描けた方がイラストの幅も広がりますし、キャラの描き分けとして使うことも可能です。
でも、まずは描きやすい頭身で描き慣れることが、体を上手に描く1番の近道だと個人的には感じています。
確かにいつも同じような頭身のキャラを描いてます。。。!
いずれは様々な頭身のキャラを描けるようになれると良いですが、
まずは描きやすい頭身で練習するようにしましょう。
体のアタリを描いて練習する
頭身が決まったらいよいよアタリを描いていきます。
ただ1つ、僕の経験則からのお節介なのですが、まずは体をしっかり描き込まず、アタリを上手に描けるように練習することをオススメします。
その理由がこちらです。
- 簡単な線で体全体をとらえる練習になる
- 動きのあるポーズも簡単に描ける
- 上手く描けたときに理由を分析しやすい
ガッツリ描き込んでしまうと1つ描くのに大きく時間を割いてしまいます。
慣れないうちはアタリのような簡単な線で形をとらえる練習をする方が効率的です。
また、簡単な線だからこそ動きのあるポーズも簡単に描くことが出来ます。
立ち絵だけじゃなく色々なポーズを描く練習にも最適です。
加えて、線が単純だからこそ、上手に描けた理由を分析しやすいという利点もあります。
このような点から、まずはアタリを上手に描けるように練習することを個人的にはオススメします。
「アタリはもう描ける!」「いきなりガッツリ描きたい!」という方はもちろんそれでも大丈夫です!
もし良ければここは読み飛ばして【初心者でも上手く見える「体の描き方のコツ」】から読んでみてください。
体のアタリの取り方には色々な種類がある
実はアタリの取り方には色々な種類があること、知っていましたか?
どれが1番オススメ、どれが1番優れているという描き方はありません。この4つとは全く違う描き方でも全然アリです。
まずは色々な描き方を試してみて、自分の描きやすいアタリを見付けてみましょう。
ちなみに僕の場合ですが、絵を描き始めた頃はずっと棒人間で練習していました!
棒人間のメリットは、「気軽に線が描けるので色々なポーズが取りやすいこと」ですね。棒なので筋肉の収縮も気にせず描けますし、描きやすさでは断トツかもしれません。
ただその分、下書き時に肉付けを考えるのが大変だったり、なぜこんな難しいポーズをさせてしまったんだと後悔もしたりします。。。笑
逆に稲妻型の描き方は、ある程度描き慣れている人じゃないと難しいかもしれません。
描き方としては体の輪郭の内外に沿ってアタリを取っていくわけですが、筋肉や関節を考えながら描かないと正しくアタリを取れない可能性があります。
もし難しければ無理をせず別の描き方を試してみましょう。
体のアタリに迷ったら「関節と末端」から描く
ポーズによってはアタリを取ること自体が難しくて悩んでしまったり、アタリの段階でバランスが崩れてしまう場合もあると思います。
そんなときは、体の関節や末端から先に描き始めることで解決するかもしれません。
例えば、前へ伸ばした腕を斜め前の視点から描く場合。
腕(棒)の部分をちゃんと描こうとするあまり、実際よりも長く描いてしまったりします。(棒の存在に引っ張られてしまう)
関節(球体)の部分から先に描くと、関節を基準に腕も描けるのでバランスが崩れるのを防ぐことが出来ます。
更に関節よりも手から先に描けば、手の位置から関節の位置もなんとなく把握出来るのでより効果的です!アタリに迷った時は試してみてください。
体の重心を意識する
画像を見てみてください。
左側は重心が傾いているため、この体勢では通常立っていることは出来ないので、見ている人に違和感を与えてしまいます。
ポーズを付けるときは必ず重心を意識して描くのがコツです。
どうやって重心を意識すれば良いのか?1番簡単で間違いない方法が自分でそのポーズを取ってみることです。
よっぽどアクロバティックなポーズでない限り、自分で描きたいポーズを取ってみて「重心がどこにあるのか」「どう体を支えているのか」を確かめてみてください。
もしくは友達にポーズをお願いして写真に撮る、もしくはスケッチさせてもらうのもオススメです。
もし難しい場合はファッション誌やzozo等アパレル系のサイトを参考にする方法もあります。
重心って大事なんですね。。。!
ただし、あえて重心をずらす場合もあります。
立ち絵ではなく動きを出したいときや不安定な感じを表現する場合は、あえて重心をずらして描く場合もあります。
例えば前方へ歩き始めるとき、体は前へ傾き重心は前方へ移動します。
後ろへ倒れそうになったとき、体は後ろへ傾き重心は後方へ移動します。
このように、意図して重心をずらして描く場合もありますので、描きたいポーズ・動作はどちらなのかを考えて表現するのがコツです。
初心者でも上手く見える「体の描き方のコツ」
アタリを取ることにも慣れてきましたか?次は実際に体を描き込んでみましょう。
最初は難しいかもしれませんがまずは慣れです!
基本的な描き方や知っておくと便利なコツも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
体の基本的な描き方
体の基本的な描き方をおさえましょう。
まずは体のバランスを取る上で、特に重要なポイントを紹介します。
- 上腕と下腕・大腿(だいたい)と下腿(かたい)の比率は1:1
- 肘の位置はくびれ(肋骨の終わり)のあたり
- 手首の位置は股のあたり
上に挙げたポイントはどの頭身でも共通するものなので、覚えておくとあとあと便利です!
ちなみにスタイルを良く見せたい場合は股の位置を体の真ん中に、頭身が低かったりリアル向きな絵柄の場合は真ん中よりも少し下にするとそれっぽく見えます。自分の絵柄もふまえて色々試してみてください。
また、男性と女性とで体の特徴も大きく違ってきます。
少し大雑把になってしまいますが、次のポイントを意識すると男性・女性の体が描き分け可能です。
【男性の場合】
- 筋肉や骨を目立たせ直線を活用する
- 全体的に外へ広がるイメージ
- 肩幅を広くする
女性に比べて筋肉質だったり骨太な構造になるので、少しゴツゴツとした体を意識すると男性らしくなります。出来るだけ直線で表現するのがポイントです。
また、外へと広がるイメージを持つのも男性らしさを表現するには効果的。
例えば少し張った肩肘だったり、足も内向きではなく外向きに描くことでより男性らしく見せることが可能です。
肩幅も女性より広く、首元の筋肉(僧帽筋)が発達しているので、首から肩にかけて少し角張った傾斜をしています。逆に女性の首元はなだらかな傾斜を意識するとそれっぽく見えますね。
【女性の場合】
- ふくらみを目立たせ曲線を活用する
- 全体的に内へ閉じるイメージ
- 腰回りを広くする
男性に比べて筋肉量が少なく華奢な構造になるので、ふくらみや丸みを意識すると女性らしくなります。出来るだけ曲線で表現するのがポイントです。
また、内へと閉じるイメージで描くとより女性らしさが出てきます。
男性とは逆に肘や足を内向きに描くだけで女性の持つイメージを表現することが可能です。
男性に比べ腰回りが広く肋骨も小さい為、くびれやヒップラインが強調されているのも特徴。
男女で色々な特徴があるんですね!
しっかり覚えておきます。
更に顔や髪、服装などでキャラの描き分けも出来ますね。
関節や筋肉・脂肪の凹凸を意識する
体を描くことにある程度慣れてきたら、今度は関節や筋肉・脂肪の凹凸を意識して描くことに挑戦してみましょう。
腕や脚はただの円柱ではなく、部位によってふくらみやへこみがあります。
それらを描き込むだけでグッとイラストの説得力がアップするので、画力アップには必須の知識です。
手癖や勘で描いてもそれっぽくはなりますが、オススメなのは「筋肉の構造を理解すること」と「好きなイラストレーターやマンガ家、絵師さんの絵を模写すること」です。
まず筋肉の付き方を知らないと「なぜこう描くのか?」をちゃんと理解することが難しいと思います。
大まかな筋肉だけで大丈夫ですので、全身の筋肉の構造を勉強しておくのがオススメです。
また、好きなイラストレーターやマンガ家、絵師さんが1人2人は必ずいると思います。
その人の絵を模写して、体の描き方を勉強する方法も効果的です。
「なぜその人の絵が好きなのか?」「なぜ上手く見えるのか?」を考えながら模写することが構造を理解するコツなので、参考になりそうなイラストがあれば1度試してみてください。
裸を描いてから服を着せる
イラスト上達に効果的なのが、キャラクターの裸を描いてから服を着せる方法です。
これは昔、僕自身も先生に教わりました。この順番で描くことのメリットは次のようになります。
- 手癖で描くことやパース崩れを防げる
- 服のシワやハリが意識しやすい
服から描き始めてしまうと、つい自分の描き慣れたやり方で描いてしまいがちです。
実際服を描き終わった後に体を描き足してみると、立体感がなかったりパースが崩れていることが結構あります。
体に合わせて服を描けば、そのポーズやパースに合った描き方をしなくてはならないので、自然と立体感を考えて描く練習になります。
また、体を先に描くことで、服のどこが突っ張るのか、どこがたるむのかも意識しやすくなる為、シワやハリを描く上でも助けになるのがメリットです。
面倒かもしれませんが、描き慣れるまでは「裸を描く」→「服を着せる」の順番で描くようにしてみましょう!
色々なポーズを描いてみる
物量的な話で申し訳ないのですが、あとはもうこれに尽きると思います。
自分の描いたことのないポーズや気になったポーズは率先して描いてみましょう。
また、同じポーズでも見る角度を変えるだけで全然違ったポーズになりますので、描けるようになるまで練習するのもオススメの練習法です。
自分の描きやすい構図・描きにくい構図も分かったりするので、今後の課題も見付けやすいですね。
まとめ
体の描き方について書いてみましたが、いかがだったでしょうか?
記事のタイトルでも書きましたが、初心者の内はとにかくアタリをしっかり取ることが重要です!
アタリが取れないとバランスの取れた体は描けませんし、手癖で描けたとしても描き慣れたポーズ以外だと難しく感じてしまうようになります。
- 1.アタリで体のバランスをある程度整える
- 2.キャラクターを裸の状態で描く
- 3.キャラクターに服を着せる
まずはこの順番で描くことを試してみましょう。
きっと上手に描けるようになるはずです!
ちなみに、スカルプターのための美術解剖学という本が体の構造を理解するのにめちゃくちゃおすすめです。本としては少しお高めなんですが、体全体の骨格や筋肉の情報を写真とイラストを織り交ぜて網羅しています。
特にイラストがとても分かりやすく、他の本も買ったことがありますがこちらの方が断然理解しやすかったです。興味があれば読んでみてください!
私もこの順番で体を描くようにしてみます!
慣れてきたら関節や筋肉・脂肪の凹凸を描けるようになるとベストです!
アキト先生~!
キャラクターの全身を描こうと思ったら上手く描けないんです。。。
バランスが崩れてたり体がかたい印象になってしまって。
上手に見える体の描き方を教えてください!